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2023.03.17

人事評価を「見える化」するメリット・デメリット解説|ツールの種類も紹介

人事評価を「見える化」するメリット・デメリット解説|ツールの種類も紹介

人事評価の「見える化」とは、人事評価のプロセスを目に見える形で従業員と共有することです。人事評価の見える化により、人事評価の透明性が高まるため、従業員が納得しやすい人事評価制度を運用しやすくなります。また、見える化することで課題の把握と改善が行いやすくなります。

この記事では、人事評価を見える化するメリットとデメリットを解説するとともに、見える化に活用できるツールについて紹介します。

人事評価の見える化とは?起源や可視化との違いを解説

はじめに、人事評価の「見える化」とはどのようなものなのか、以下の3つの観点で解説します。

  • 人事評価の見える化の概要
  • 見える化の起源
  • 見える化と可視化の違い

人事評価の見える化の概要

人事評価の見える化とは、人事評価におけるさまざまな情報を「共有」することです。これにより、組織の課題点の把握と改善が可能になります。

そもそも見える化とは、業務プロセスを目で見て理解できる形で表現し、関係者間で共有する取り組みを指します。共有範囲は上司と部下だけに限られることもあれば、部門内や全従業員など必要に応じて変わります。

人事評価の見える化でも、基本的な考え方は同じです。人事評価のプロセスや結果を見える化することで、人事評価の課題点をスムーズに把握して改善しやすくなります。

見える化の起源

見える化の起源は、トヨタ自動車の業務改善活動にあるといわれています。同社の岡本渉氏が1998年に発表した『生産保全活動の実態の見える化』という論文で、初めて「見える化」という表現が使われました。

トヨタ自動車の生産ラインでは、異常発生時にアンドン(電光表示盤)が点灯し、関係者に状況を知らせます。このように、重要事項を「目に見える形で伝える」ことが、見える化の起源といえます。現在では、生産ラインに限らず、さまざまなビジネスシーンで「見える化」という表現が活用されるようになりました。

見える化と可視化の違い

見える化とよく似た言葉に「可視化」があります。いずれも「目に見えないものを見えるようにする」点では同じですが、ビジネスシーンでは以下のような違いがあると解釈されています。

  • 可視化…見たいときに見えるようにすること(見ようとする意志が必要)
  • 見える化…見るべき人に必然的に見えること(見ようとする意志に関係なく見える状態)

このように、可視化と見える化は「任意」か「必然」かの違いがポイントです。「必要なときに見たい人に見えれば良い」という可視化に対し、見える化は「見るべき人に情報を確実に共有し、その情報をもとに適切な行動をとる」ために行います。前述したトヨタ自動車の例でも、異常発生時、関係者が意志に関係なく情報を共有し、あらかじめ決めておいた判断基準に沿って適切な行動をとる、という業務フローを構築しています。

言い換えれば、見える化は可視化の先にあるということです。情報を可視化したうえで、対象者に情報が確実に伝わるような仕組みをつくり、理解や改善まで促すのが「見える化」です。

人事評価を見える化するメリット・デメリット

人事評価を見える化するメリットとデメリットについて、以下の3つのポイントから解説します。

  • メリット:人事評価の進捗状況を把握できる
  • メリット:従業員の納得感やモチベーションが上がる
  • デメリット:評価者のスキルによっては不信感が生まれる

メリット:人事評価の進捗状況を把握できる

人事評価は、次期の組織体制や従業員の待遇に影響するため、遅延なく進めることが大切です。プロセスの見える化により、人事評価の進捗状況をリアルタイムに把握でき、各部門の進捗状況をとりまとめて全社的に共有できます。

また、進捗が遅れている部門や担当者があれば、「何か問題が生じていないか?」を確認してフォローに入ることも可能です。

メリット:従業員の納得感やモチベーションが上がる

人事評価に対する従業員の納得が得やすくなることも、人事評価を見える化するメリットです。人事評価は自身の待遇を左右するため、従業員は公正公平な評価を望みます。評価のプロセスが見える化されることで、「何がどのように評価されたか」「どうすれば改善できるか」を把握可能です。従業員が自身の評価内容に納得できれば、業務への取り組みを見直したり、不足しているスキルを習得したりといった成長へのモチベーションが高まることが期待できます。

デメリット:評価者のスキルによっては不信感が生まれる

情報を公開・共有することで、人事評価制度や評価者のスキルの問題が露呈してしまうこともあります。例えば、人事評価自体は公正に行われているにもかかわらず、それが職位や賃金に反映されていなければ、新たな不満の原因になるかもしれません。また、評価者のスキル不足が原因で正しい評価・フィードバックができていないことが分かれば、人事評価制度への不信感が生じるでしょう。

人事評価を見える化しないメリット・デメリット

さまざまな事情から「敢えて人事評価を見える化しない」という選択を検討することがあるかもしれません。見える化しないことのメリットとデメリットについて、以下の2つのポイントから解説します。

  • メリット:挑戦的な業務に取り組みやすくなる
  • デメリット:評価に不満をもつ従業員もいる

メリット:挑戦的な業務に取り組みやすくなる

人事評価は半期ごと・1年ごとなど、比較的短期間での成果が対象になります。そのため、評価者・被評価者ともに、どうしても「短期的」「近視眼的」な視点で取り組んでしまうことがあります。試行錯誤を繰り返して、長期的なスパンで取り組む業務は、正当な評価を得られにくい点が課題です。

人事評価のプロセスを敢えて見える化しないことで、「長期的視点を重視する」という意識が従業員に伝わります。結果的に、長期的に取り組む挑戦的な業務に取り組みやすくなり、企業の将来性を高めることも可能です。

デメリット:評価に不満をもつ従業員もいる

人事評価を見える化しない場合、当然ですが、「どんな働き方をすれば評価されるか分からない」「どんな基準を満たせば評価されるのか分からない」ということになり、従業員は企業や人事評価制度に対して不満・不信感を抱きます。こうした従業員が増えると、全体的なモチベーション低下につながりかねません。

小規模事業者・零細企業の場合で、普段から経営陣や評価者と従業員の距離が近く、業務や処遇に関する密なコミュニケーションがとれているケースなどでは、厳密な人事評価制度を運用していなくても成り立つかもしれません。

人事評価以外で見える化をおすすめする人事情報

人事には、人事評価以外にもさまざまな情報が集まります。例えば、以下のような人事情報を見える化すると、社内に良い効果をもたらすでしょう。

  • スキルや経歴などの人材情報
  • 業務プロセスやトラブルへの対応状況

スキルや経歴などの人材情報

従業員のスキルや経歴などの「人材情報」を見える化すると、効果的な人材育成や人員配置が可能になります。

個人スキルの見える化は、不足しているスキルや伸ばすべきスキルが明確化され、適切な育成戦略が練りやすくなるでしょう。また、各人材のスキルを把握することで、パフォーマンスが発揮されやすい人員配置や組織編成を行うことで、生産性向上や従業員のモチベーションを高めることにもつながります。

業務プロセスやトラブルへの対応状況

業務プロセスやトラブルへの対応状況を見える化すると、業務フローを標準化でき、ブラックボックス化や属人化を防ぎやすくなります。業務品質の向上や引き継ぎの円滑化にも効果的です。また、さまざまな業務プロセスをリアルタイムで把握できるようになるため、納期や対応の遅れ、抜け漏れなどのトラブルも予防しやすくなります。

人事評価を見える化する際のポイントや注意点

人事評価を見える化する際は、以下の2つのポイントや注意点を意識しましょう。

  • 全社的に業務目標や現状認識を共有する
  • 担当者が正当な評価とフィードバックを行う

全社的に業務目標や現状認識を共有する

人事評価を見える化するときは、業務目標や現状認識を全社的に共有することが重要です。評価基準は企業の業務目標や現状認識を反映したものなので、それが従業員に浸透していなければ人事評価制度は機能しません。

例えば、業務の中で従業員が重要と認識していること(評価して欲しいこと)と、会社が重視していること(業務目標や評価基準)にギャップが生じると、すれ違いが生じて、従業員は不満を抱えることになるでしょう。業務目標や現状認識を従業員が共有し、「自分が何をすべきか」を理解することで、適切な人事評価制度の運用が可能です。

担当者が正当な評価とフィードバックを行う

評価担当者が適切な評価とフィードバックを行うことも重要です。公正公平な評価が行われることで、従業員は評価結果に納得して企業への信頼を強めます。

公正公平であることの裏付けは、情報共有と的確なフィードバックです。評価の理由や背景について具体的に説明することで、従業員は「なぜこの評価になったのか」「どこに課題があるか」「どうすれば改善できるか」を理解できます。

しかし、評価者にスキルがなければ、こうしたフィードバックは困難です。そのため、評価担当者に対して定期的な教育や研修を行うことや、支援体制の整備も必要になるでしょう。

人事評価に活用できる「見える化」ツールとは?種類を解説

現在、あらゆるビジネスシーンにIT技術が活用され、業務効率化や生産性向上といったメリットをもたらしています。人事評価にも活用できる「見える化」ツールの代表例としては、以下のようなツールが挙げられます。

  • タスク管理ツール
  • 勤怠管理ツール
  • 採用管理ツール
  • 人事評価ツール

一般的に開発・販売されている人事関連のITツールはさまざまあり、名称もそれぞれ異なりますが、こうした機能を備えたツールを導入することで、効率的に見える化を導入できるでしょう。

タスク管理ツール

業務におけるタスクの進捗状況を管理するシステムです。タスク内容、タスクの開始日時・終了日時を設定し、プロセスの進捗を視覚的に管理できます。タスクの期限が近づくとリマインドが通知され、抜け漏れを防ぐこともできます。

チーム全体やプロジェクト単位でタスク管理ツールを使用すれば、進捗状況の共有がスムーズにできるため、業務管理やマネジメントを効率的に遂行できるでしょう。

勤怠管理ツール

従業員の出勤・退勤・休暇取得など勤務状況をシステム上で管理できます。出退勤の正確な時間だけではなく、早退・遅刻や有給休暇の取得状況も管理できるため、全社的な労働管理の効率化が可能です。また、勤怠管理ツールの情報を見える化することで、自社の労働環境の把握と改善に活用できます。

採用管理ツール

採用活動を行うときに、応募者のさまざまな情報を一元管理できます。適性試験や面接のスケジュールはもちろん、選考状況をリアルタイムに把握できます。採用管理ツールの情報を見える化すれば、「自社に応募する人材の傾向」や「理想像とのギャップ」などを把握できるため、採用ミスマッチの予防や採用プロセスの効率化に役立つでしょう。

人事評価ツール

人事評価の一連のプロセスをシステム化できます。人事評価シートの作成・共有・集計など、すべてがシステム上で完結するため、メールなどでのファイルのやりとりが不要で、人事評価業務の大幅な効率化が可能です。人事評価ツールの情報は、人材配置や人材育成の最適化にも活用できます。

また、ほかの人材管理ツールなどと連携することで、従業員情報の一元管理も可能です。集約した情報は、さまざまな観点から分析できるので、人事評価ツールは人事のデジタル化の第一歩として最適です。

「見える化」ツールを使用するメリット

「見える化」ツールを使用することで、以下の3つの効果が得られます。

  • 組織力を強化できる
  • ミスの軽減や防止につながる
  • 無駄な工数を削減できる

組織力を強化できる

見える化ツールの活用により、自社の人材に関する情報を集約し、より正確に把握できるようになります。従業員の配置転換や入社・退職の情報も、デジタルデータで一元管理化していれば、手間なくリアルタイムに更新できます。

その結果、現状の人的資源の強み・弱み、ある部門・職種に向いている人材の特徴などを抽出することが可能になり、組織力強化のために活用できます。

ミスの軽減や防止につながる

見える化システムを活用すると、人為的ミスの発生傾向に関するデータを分析できます。ミスが発生しやすい業務プロセスが見つかれば、従業員への教育やプロセスの改善によって、業務ミスを削減することが可能です。結果的に業務効率が改善し、生産性の向上も見込めるでしょう。

無駄な工数を削減できる

見える化システムを活用すると、非効率的なプロセスを改善し、業務効率化とコスト削減ができる可能性があります。システムに蓄積された業務プロセスの進捗状況を分析すれば、「どの部分の進捗が遅れやすいか」「特定の従業員に負荷が集中していないか」などを把握できます。

プロセスの問題点が判明して無駄な業務を効率化できれば、労働環境の改善も可能です。時間外労働の削減や従業員エンゲージメントの向上にもつながるため、企業と従業員の双方にとって大きなメリットがあるといえるでしょう。

「見える化」ツールを使用するデメリット

「見える化」ツールを使用するときは、以下のようなデメリットがある点にも注意が必要です。

  • 自由な発想が生まれづらくなる
  • 問題の本質を見失うことがある

自由な発想が生まれづらくなる

見える化システムを導入すると、自由な発想が生まれづらくなる可能性があります。なぜなら、見える化システムでは、常に情報が共有され、課題や改善点が見えるようになるからです。つまり、「常に問題点があることが表面化し、進捗を監視されている」と受け止められてしまう恐れがあり、従業員や管理職が、それをプレッシャーに感じて硬直化してしまうこともあり得ます。

見える化の目的が、業務改善や組織の活性化にあることを認識しないままで形式だけ導入してしまうと、「余計なことをしないでおこう」という意識がはびこり、クリエイティブな発想の阻害や、新たなアイデアの創出機会が失われるかもしれません。

問題の本質を見失うことがある

「人事評価を見える化すること」が目的になると、問題の本質を見誤ってしまいます。見える化の目的は、課題の発見と改善にあります。つまり、見える化した情報を検証・分析して、「何が課題か」「どうすればもっと良くなるか」を考える姿勢が欠かせないということです。見える化の本質を意識することで、前述した自由な発想とも共存させやすくなるでしょう。

人事評価ツールなら『人事評価シートDX』がおすすめ!

人事評価を見える化するためには、人事評価に関する情報を集約させる必要があります。しかし、人事評価をシステム化するときは、現行の人事評価制度やフローの見直しが必要なケースもあり、人事評価のシステム化に踏み切れないこともあるでしょう。

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人事評価シートDXが選ばれる理由

人事評価制度の「見える化」で、人材育成や成長戦略を最適化できる

人事評価を「見える化」すると、人事評価のプロセスを目に見える形で従業員とも共有するため、透明性が高まり、従業員も納得しやすい制度運用が可能です。さらに、業務効率化や生産性向上など、事業成長にとっても大きなメリットが得られます。

人事評価制度の運用に手間がかかっている場合には、ここで紹介したような見える化ツールの導入を検討してみるといいでしょう。

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