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2022.04.13

人事評価シートの3つの評価基準と業種別の記入事例を紹介

人事評価シートの3つの評価基準と業種別の記入事例を紹介

人事評価を実施しているものの、「従業員からの不満が大きい」「人事評価への従業員の関心が高くない」という課題を抱える企業が少なくありません。
人事評価が社員の成長につながらない原因として、「評価基準の曖昧さ」が挙げられます。人事評価シートを活用し、評価基準を明確化・透明化することで、より効果的に人事評価制度を運用することが可能です。

この記事では、人事評価の目的や、人事評価の基本となる3つの評価基準、職種別・業種別の人事評価シートの記入例を紹介します。

社会保険労務士:蓑田真吾(当記事執筆・監修)

 

人事評価をおこなう3つの目的

 

そもそも、なぜ企業は人事評価をおこなっているのでしょうか。人事評価シートを導入する前に、あらためて人事評価の目的について確認しておきましょう。
人事評価をおこなう目的は次の5点です。

  • 企業ビジョンの共有のため
  • 適正な業務配分、適材適所の実現のため
  • 従業員の資質に見合った昇進や昇給のため
  • 従業員のやる気やモチベーションアップのため
  • 従業員のキャリアパスを明確化するため

それぞれの点について詳しく解説します。

企業ビジョンの共有のため

人事評価は、会社が目指しているビジョンを共有するためにおこなわれます。評価基準などの情報を社内で公表し、会社が求める人材を明確にすることで、従業員一人ひとりが評価に見合った働き方を意識するよう促すのです。

適正な業務配分、適材適所の実現のため

各従業員が能力に合った仕事ができているか確認することも、人事評価の目的の一つです。定期的な評価によってスキルアンマッチを防ぐともに、より適した業務へ配置換えするための参考にすることもあります。
従業員一人ひとりがのびのびと仕事できるようになれば、より高い成果も見込めるでしょう。

従業員の資質に見合った昇進や昇給のため

人事評価をおこなう目的は、従業員の資質に見合った給与や賞与の決定や、昇進・昇給などのインセンティブを付与するためです。
企業の将来を担う優秀な人材を維持するには、従業員の成果や働きぶりを適切に評価し、ふさわしい待遇を用意する必要があります。そのためには、人事評価の基準を公開するなど、透明性のある人事評価制度の運用が求められます。

従業員のやる気やモチベーションアップのため

人事評価を導入すれば、従業員のやる気やモチベーションアップにつながります。従業員の能力や働きぶりに見合った報酬を用意することで、従業員に「さらに成長したい」「より多くの目標を達成したい」という思いを持ってもらうことが可能です。
しかし、人事評価に「不満」を持っている従業員も決して少なくありません。
評価基準が明確でなかったり、評価者の主観で人事評価をおこなったりする場合は、逆に従業員のやる気やモチベーションを低下させる可能性があります。そのためにも、人事評価の基準を明確化・透明化することが大切です。

従業員のキャリアパスを明確化するため

人事評価の基準を透明化すれば、従業員のキャリアパスを明確化する効果も期待できます。「どのようなスキルを身につければ評価されるか」「どのような姿勢や働きぶりが評価されるか」など、人事評価を通じて達成すべき目標を示すことで、従業員の成長を促すことができます。
そのためには、従業員が職種や年代に見合った能力を身につけられるよう、能力開発計画に基づいて人事評価項目を設定する必要があります。

 

人事評価シートの3つの評価要素

人事評価シートには、人事評価の基準を明確化し、評価のばらつきを防ぐ役割があります。
人事評価シートの評価基準は、大きく分けて「成果基準」「能力基準」「情意基準」の3つです。人事評価をおこなうときは、この3つの評価基準に基づき、客観的かつ具体的に人事評価シートに記入することが大切です。

従業員の成果を評価する「成果基準」

成果基準とは、従業員が達成した成果や業績をチェックするための評価基準です。主にチームの業績目標の達成度や、個人として設定した課題の達成度、日常業務における成果などを評価します。

業績目標の達成度 売上目標や受注件数など、企業の業績に関わる目標の達成度を精査する
課題の達成度 資格の習得など、あらかじめ個人で設定した目標の達成度を精査する
日常業務における成果 業務効率の向上や企業組織への貢献度など、日常的な業務に関する目標の達成度を精査する

従業員の能力を評価する「能力基準」

能力基準とは、従業員の能力やスキルをチェックするための評価基準です。能力基準の一例として、「企画力」「行動力」「危機管理能力」などが挙げられます。

企画力 企画の提案やアイデア出しなど、チームのパフォーマンスを底上げするような能力があるかどうか
行動力 担当業務の遂行や後輩のサポートなど、業務において優れた行動力や実行力を示したかどうか
危機管理能力 企業の危機やトラブルに対し、周囲と協調しながら処理できたかどうか

従業員の働きぶりを評価する「情意基準」

情意基準とは、従業員の働きぶりや仕事への姿勢をチェックするための評価基準です。成果基準や能力基準とくらべて数値化が難しいため、人事評価シートの基準を明確化し、具体的にコメントやフィードバックをおこなう必要があります。情意基準は、さらに「責任感」「協調性」「積極性」などの評価基準に細分化することができます。

責任感 自分の仕事に対し、粘り強く責任感を持って取り組んでいるか
積極性 熱意や情熱を持ち、チャレンジを恐れず業務を遂行しているか
協調性 周囲と積極的にコミュニケーションをとり、部下や後輩をサポートしているか

 

人事評価シートの検討から導入までの流れ

人事評価シートを導入する際は、主に以下のような流れとなります。

  • 現状分析
  • 人事評価シート素案作成
  • 従業員説明会
  • 評価項目と期間の決定

現状分析

まずは自社の課題を挙げ、会社の成長に必要となる物事を分析します。分析結果をもとに部署やチーム、従業員の課題の設定へとつなげましょう。
具体的には、成果基準・能力基準・情意基準の3つの要素に分け、現状不足していること、達成できていないことにフォーカスしていくのがおすすめです。
なお、スタートアップ企業で実績の分析が難しい場合などは、今後自社が目指す成果をもとに考えます。

人事評価シート素案作成

現状分析をもとに、人事評価シートの評価項目を設定します。評価項目は評価者と従業員双方が理解しやすいよう、抽象的な表現を避けましょう。
一項目ずつ、業務における努力の方向性がずれにくいかどうか、従業員一人ひとりの成長の過程を分析しやすいかどうかなどを検討し、絞り込んでいってください。
また、人事評価では成績などの数字と従業員本人の姿勢をバランス良く評価することも大切です。評価項目は成果基準・能力基準・情意基準の3つの要素を意識し、バランス良く構成しましょう。

従業員説明会

人事評価シートを導入する前に、従業員明会を開催し、導入の目的や評価項目の設定理由などの概要を伝えます。評価期間中に面談などを実施する場合は、同時に周知するとよいでしょう。
人事評価シートを効果的に運用するためには、従業員の理解が必須です。従業員一人ひとりの成長、ひいては自社の業績向上につながることを説明し、従業員からの質問や指摘があれば丁寧に回答します。また、従業員から項目の見直しを求める声があれば検討しましょう。

評価項目と期間の決定

必要に応じて人事評価シートの評価項目を決定したら、評価期間を決定しましょう。また、評価期間中の面談日程なども決定します。

 

【職種別】人事評価シートの事例紹介


人事評価シートの書き方は職種や業種によって異なります。「成果基準」「能力基準」「情意基準」の3つの評価基準をベースにしながら、職種や業種に合わせて評価項目を細かくカスタマイズすることが大切です。

営業職の人事評価シートの書き方例

営業職は訪問件数やアポイント件数、成約率や顧客単価など、目標達成度を客観的な指標で評価しやすい職種です。営業チームの目標に合わせ、成果基準を中心に人事評価をおこなうのが一般的です。

評価項目 記入例
成果基準 業績目標の達成度 売上目標●●円を達成できたか
アポイント獲得●●件
能力基準 企画力 営業チームに対し、業務改善に向けた積極的な提案をおこなったか
情意基準 積極性 熱意や情熱を持って職務を遂行したか

事務職の人事評価シートの書き方例

事務職などの間接部門は、営業職と違って具体的な数値目標で人事評価をおこなうのが難しい職種です。そのため、日常的な業務で身につけたスキルや、仕事への姿勢や働きぶりなど、能力基準や情意基準をメインとして人事評価をおこなう必要があります。

評価項目 記入例
成果基準 日常業務における成果 大きなミスをせず、●●業務を月に▲▲件処理できたか
能力基準 企画力 間接部門に対し、前向きな業務改善の提案をおこなったか
情意基準 協調性 疑問点やわからないことを上長や同僚に相談できたか

技術職の人事評価シートの書き方例

ものづくりやサービス開発などに関わる技術職は、複数のメンバーと協力し、プロジェクト単位で業務を遂行する職種です。プロジェクトに対する貢献度をベースに人事評価をおこないながら、顧客やチームメンバーとの協調性もチェックする必要があります。

評価項目 記入例
成果基準 業績目標の達成度 納期を守り、プロジェクト完了に貢献できたか
能力基準 危機管理能力 顧客からのクレームの際、上長やチームメンバーと協力しながら処理できたか
情意基準 協調性 プロジェクト中、社内外の担当者と積極的にコミュニケーションをとったか


いわゆるスタッフ、スペシャリストも、それぞれの職種に求められる評価項目を盛り込むべきです。

企画職の人事評価シートの書き方例

評価項目 記入例
成果基準 提案力 提案した内容がどの程度採用されたか
能力基準 情報収集能力 必要な情報を収集し、部内で発信できたか
情意基準 開放性 消費者のニーズをキャッチできたか

マーケティング職の人事評価シートの書き方例

評価項目 記入例
成果基準 抽出力 将来の見込み客を洗い出せたか
能力基準 発信力 見込み客に対して必要な情報を発信できたか
情意基準 開放性 広く浅く情報をつかみ取れたか

クリエイティブ職の人事評価シートの書き方例

評価項目 記入例
成果基準 設計力 あらゆる媒体や制作物において関与できたか
能力基準 発想力 どれだけ企画を立案できたか
情意基準 進行管理能力 締め切りに間に合わせられたか

【業種別】人事評価シートの事例紹介


同様にして、人事評価シートの評価項目は業種によって重みが変化します。業種の特性に合わせて目標設定やフィードバックをおこなうことが大切です。

製造業の人事評価シートの書き方例

製造業では、作業者が決められたルーティンを守って仕事をするため、個人の資質や能力を評価しづらいという特徴があります。日々の実作業の様子や異常発生時の処置の様子など、仕事への姿勢を中心として人事評価をおこなうのが一般的です。

評価項目 記入例
成果基準 日常業務における成果 作業マニュアルを守り、的確に作業をおこなっているか
能力基準 危機管理能力 異常を発見した際、すみやかに上長に報告し、指示に従って対処したか
情意基準 責任感 粘り強く責任感を持って担当作業をおこなっているか

小売業の人事評価シートの書き方例

一方、小売業はコミュニケーション能力やビジネスマナーなど、顧客への接客態度が重要となる業種です。そのため、望ましい顧客対応のあり方から逆算し、人事評価シートの評価項目を設定する必要があります。

評価項目 記入例
成果基準 課題の達成度 マナー研修を修了し、基礎的なビジネスマナーを身に着けたか
能力基準 企画力 既存のルールやマニュアルに対し、前向きな意見を述べられたか
情意基準 協調性 チームワークを意識し、同僚と協力しながら仕事をしているか

 

その他、いくつかの業種を例示します。

卸売業界の人事評価シートの書き方例

評価項目 記入例
成果基準 俯瞰力 流通前に欠品や破損を見つけ出せたか
能力基準 数的能力 必要な在庫数を管理できているか
情意基準 コミュニケーション力 取引前後に関係者と適切にやり取りできているか

介護業界の人事評価シートの書き方例

評価項目 記入例
成果基準 組織貢献度 快適な場を提供できているか
能力基準 危機管理能力 利用者のヒヤリハット未然防止できているか
情意基準 傾聴力 利用者の合図を見落としていないか

医療看護業界の人事評価シートの書き方例

評価項目 記入例
成果基準 連携力 患者の早期退院のために職員間の情報連携が計れているか
能力基準 危機管理能力 患者のヒヤリハット未然防止できているか
情意基準 傾聴力 患者の合図を見落としていないか

人事評価シートのサンプルはこちら

人事評価シートの導入を検討中の方は、こちらのページからサンプルをダウンロードできます。
https://jinji-hyouka.workvision.net/contact/

人事評価シートのサンプルのほか、記入例のサンプルや、活用イメージをふくらませるための導入事例パンフレットもダウンロード可能です。
「人事評価を仕組み化したい」「人事評価の基準を明確化したい」方は、ぜひ人事評価シートのサンプルをご利用ください。

 

【まとめ】人事評価シートの3つの評価要素を知り、従業員の成長につながる人事評価を

人事評価をおこなうことで、従業員のやる気やモチベーションを高め、成長を促すことができます。
しかし、人事評価の基準が明確でなかったり、担当者が主観的に人事評価をおこなったりしていると、逆に従業員の成長を妨げてしまう可能性があります。人事評価シートを導入し、人事評価の基準を明確化・透明化することが大切です。
人事評価シートの導入が初めての方はサンプルを活用し、運用イメージをつかみましょう。

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人事評価シートDXを導入すれば、既存の業務フローを変更せず、人事評価に関する事務作業の無駄を削減できます。人事評価シートはデータ出力が可能なため、ほかの業務システムで利用することも可能です。

 

 


記事執筆・監修者プロフィール:社会保険労務士 蓑田真吾

社会保険労務士独立後は労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。法改正内容を踏まえながら、ヒアリング内容を基に、企業に合った様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業の人事労務業務をサポートしています。

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